「OM-D画質」を謳った2012年生まれの名機
マイクロフォーサーズカメラの歴史の中で、エポックメイキングな機種をひとつ挙げろと言われた時(マイクロフォーサーズという規格の登場そのものがエポックメイキングでしょうがという突っ込みはナシで)、多くの人が2012年3月末に登場したOLYMPUS OM-D E-M5の名を挙げるのではないでしょうか。同年のCP+のオリンパスブースでは、当時プロがこぞって使っていたフルサイズ機、CanonのEOS 5D MARK2との取り比べ作例をパネルにして「マイクロフォーサーズがフルサイズを超える画質を叩き出した」というニュアンスの、いささか刺激的なプロモーションを展開していたのを覚えています。事実、プロカメラマンが仕事にマイクロフォーサーズ機を持ち込むようになったのもOM-D E-M5登場以降ではないでしょうか。私がブログやSNSでフォローしていた複数のプロカメラマンが購入し、絶賛していました。
個人的にはOM-D E-M5の、ペンタ部がぴょこんと出っ張ったデザインがあまり好きでなく、また、前にも書きましたがそもそもファインダーが光軸上にあるスタイルが一眼レフ機を想起させるので、せっかくミラーレスなのになあ…という変なこだわりもあって、OM-D E-M5に触手を伸ばすことはありませんでした(当時はLUMIX GF1を使っていました)。で、OM-D E-M5の登場から約半年後に登場したのがPEN Lite E-PL5です。
そもそもPENシリーズは、OM-Dの登場まではオリンパスのマイクロフォーサーズのメインストリームだった、というかそれしかなかったんですよね。型番的には2009年登場のE-P1ってのがマイクロフォーサーズの初号機で、でもそのシリーズは2013年のP5で終わり(2016年にPEN-Fってのが出ましたが)、コンパクトなセカンドラインという位置づけだったはずのPLシリーズ(そういえばPEN miniシリーズってのもありましたね、あれどうなったんだっけ?)がいつの間にかPENの母屋を守っているわけですね。そう考えるとパナソニックのLUMIXシリーズと同様、オリンパスのPENシリーズもその系譜は結構よくわからない軌跡を描いているんだなあと思います。
E-PL5登場時のWEBページのキャッチコピーは「OM-D画質」。続く説明文でも、話題となったOM-D E-M5のセンサーやエンジンをそのままPLシリーズにも展開したことを強調する内容だったと思います。前モデルであるE-PL3には赤いボディカラーがラインナップされていたことからもわかるように明らかに女性をターゲットとしていたPLシリーズですが、E-PL5ではボディカラーはシルバー、ホワイト、ブラックだけとなり、広告ビジュアルも黒背景の引き締まったものになりました。
凝縮感
つまり、見かけ上たいして変化のないPL3とPL5ですが、オリンパスが与えたキャラ設定は結構変わった、ということになりましょうか。
僕がこのカメラを購入したのは、発売後2年ほど経ってからで、ヤフオクで中古を買いました。事前にカメラ屋さんで実機は何度も見ていて、当時からその小ささ、凝縮感が素晴らしいなと思っていましたが、今あらためて、LUMIX GX7 MARK2と並べてみると…
こんなに違います。前の記事でGX8とGX7 MARK2を比べた画像を載せていますが、こうなると親亀の上の子亀の上の孫亀、みたいな感じですね。適当な表現ですが。
20mm(換算40mm)のパンケーキレンズをつけると、もはやコンデジです。実際、当時オリンパスから出ていSTYLUS XZ-2というコンデジにそっくりですね。こんなんで「Eos 5D Mark2を超える(あくまでオリンパスがCP+で言ってた言葉、ですけど)画質を実現したOM-D E-M5」と同等の画質を得られるってんですから(もちろん言葉通りを真に受けてるわけじゃありませんが)、そりゃあ「買い」だなあと。旅にはGX7 MARK2を使うようになった今でも手放していません。ボディーサイズに対する画質パフォーマンスという観点では歴代マイクロフォーサーズ機の中でもE-PL5は相当上位に来るんじゃないでしょうか(E-PL7以降、少しずつボディが大きくなっていますからね、PLシリーズも)。
このE-PL5 + LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH.の組み合わせは随分活躍しました。旅先でご飯屋さんやバーに入った時なんかでも気兼ねなく取り出せるんですよね。
このレンズいいですよね。改めて単体でのレビューも書こう。で、街中では25mm、45mm、12mm(それぞれ換算50、90、24mm)といった単焦点をカチャカチャ付け替えて楽しむ、という自分なりのスタイルが確立したのもこの機種を買ってからでした。
オリンパス・ブルーを欲して
最近一番使っているのはGX7 MARK2ですが、日本各地、バルセロナ、ニューヨーク、シアトル、香港と、現時点で一番多くの旅路にお供したカメラとなるとE-PL5です。
より高機能なGX7がある今、今後あんまり出番がないような気もしてるんですが、jpegの色味でいうとオリンパスのほうが素直というか好ましく仕上がる率が高いんですよね僕の場合(上の2枚もいわゆる撮って出しです)。特に青味や橙味については下手にRAWをいじるよりjpegのままのほうが良かったりもする。オリンパス・ブルーなんて言葉もありますがまさしくそれ。もう使うことないかなと思った機材はわりととっとと処分するなり売るなりする僕が、E-PL5をまだ持ち続けているのは、機会によっては、あるいは行き先によっては、オリンパス・ブルーを欲することがあるかも知れない、と思っているからかも知れないです。