コロナ禍とデモと暴動
前回香港の写真を投稿した後、香港ではふたたびデモ活動が活性化しています。そして遠くアメリカでも、ミネアポリスでの事件に端を発したデモがニューヨークにも達し、現在も収まる気配がありません。どうにも、僕が再訪を願う都市がなかなか穏やかさを取り戻してくれないのですが、とは言えこちらはお気楽な旅行者目線。当事者である住民の方々にしてみたらそれどころではないのでしょう。
ニューヨークは2014年に一度行っただけで、その後チャンスを伺っていたのですがマイレージの特典航空券の争奪戦に負けたり(普通に行けや)しているうちにタイミングを逸してしまっています。

空港から、各停電車に乗ってしまったせいかえらく時間を要して辿り着いたグランド・セントラル。ステーション。もう(当時は「映える」なんて言い方はまだ一般的じゃなかったですが)写真映えし過ぎで、また到着した時間帯もちょうどよく(中央の時計が午後7時を示していますね)屋外が暮れゆき、暗くなってきた構内に徐々に照明が灯る、という僕の大好物の時間帯だったもので、キャリーケース片手で引いたままの状態で小一時間、ウロウロしながら撮り続けていました。そうした薄暮の時間帯を、上の写真みたいにアンダー目に撮るのが好きなんです。

いい加減お腹も空いてきたしひとまずホテルに荷物置きに行こうと地下鉄に向かったら、ここもまたいい感じの「密」で、またしてもカメラ持ったまましばし立ち止まってしまうという。いつになったらホテルに着くのだろう。
キャリーケース引いたままの東洋人がひとり、カメラ持ってウロウロしているわけですから普通に考えると危険に思えるのですが、初めて訪れたニューヨークは少し拍子抜けするほどに危険の香りがしなかったので(もちろんそうは言っても「ザ・旅行者」のいでたちのままでブラブラするのは今考えると褒められたことじゃないと思います)、到着早々になんとも楽しいスナップ撮影タイムを満喫させてもらいました。
ちょうどいい密、コロナ以前のソーシャル・ディスタンス

別の日、メトロポリタン美術館。
奥の明るいほうの賑わいと、手前、手すりにもたれて静かにメールチェックする女性の対比が面白くて撮ったのだけど、こうして見ると奥の賑わいも、肩がぶつかり合うほどではなく、かといって「賑わっている」と表現するのに十分な人口密度は保っている。
なんとなくニューヨークでは、どこに行ってもそうした、程よい密度感、いわば人が自然と持ち合わせているソーシャル・ディスタンスを、心地よく感じていたように思います。「2m離れて」などという医学に基づくソーシャル・ディスタンスの習慣が、ニューヨークの街が本来持ち合わせていた心地よさを損なわずにいてくれると嬉しいのですが。

スパイスもいい感じの密(さすがにこじつけ)。

スパイスの写真とこのタイムズ・スクエアの写真のみ、RAWから若干調整しています。なので少し他と違う調子になってしまったかな?

作例を撮ったカメラとレンズ
このニュヨークも、前回紹介した香港と同様、中古のオリンパス E-PL5と、マイクロフォーサーズの愛しき単焦点レンズ群(この時は4本)、あとモノクロスナップ用にリコーのGX100を持っていっていました。それだけ持っても街歩きはメッセンジャーバッグひとつで収まります。
E-PL5、中古と書きましたが当時既に、という意味です。ヤフオフで買いました。
もうぼちぼち中古のタマもなくなるかな? 同型の最新版がE-PL10です。
レンズの部。1枚目(ロックフェラーセンタービル展望台)、3枚目(地下鉄)、4枚目(メトロポリタン美術館)、5枚目(チェルシーマーケット)はLEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH. 僕にとって絶妙な焦点距離と素早いAF。街に溶け込んでの撮影では無敵なレンズ。このレンズについての単独の記事、早く書かなくちゃですね。
2枚目(グランド・セントラル・ステーション)、6枚目(タイムズ・スクエア)、7枚目(ロックフェラーセンタービル展望台)オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0。パース感が小気味いいですよね。ズームレンズの12mm側ではこの気持ちよさはやはり味わえないです。
今のニューヨークって、どうなってるんでしょうね。現地在住の方のブログなどでリアルな情報は入ってきていますが、やはりコロナで街の空気も、景色も変わってしまっているんだろうな、旅するものにとって好ましいとは言えない方向に。でもこればっかりは誰を恨んでも何を憎んでも仕方がない。「元のままの姿」に戻ることを願うのが正しいのか、新しい秩序の元に生まれる新しい街の姿を望むことが正しいのか、自分でもまだよくわかりませんが、いずれであれ、再び訪れたい街であることだけは確かであり、消化できず貯まりに貯まっているマイレージを使って(だから普通にチケット買いなさいって)、行く側も迎える側もはばかりなき頃合いに、またカメラ持って行きます。