大仕事にも「内緒で活用」したMy First LUMIX
もはやいつどこで買ったかさえ記録も記憶もない機種ですが、僕が初めて使ったLUMIX機はFZ10という機種です。メーカーの発売日が2003年の10月。ざっとスペックを列挙しておくと(こういった場合はメーカーのサイトより価格コムのほうがデータベースとして役立ちますね)画素数は423万(少な!)、センサーサイズは1/2.5型、35mm版換算で35mm〜420mm光学12倍でF2.8通しのズームレンズフィックス型。
当時の自分はまだ、趣味と言えるほどにはカメラに深入りしておらず、スペック(画素数くらいは分かりますが、F値などは理解していなかった)などよく吟味することもなく、デジカメ欲しかったしこれカッコいいしデザイナーとしての仕事に何か役立てば…くらいの気持ちで購入したのだと思います。人ごとみたいな言い方になってますが。
カメラの歴史で2003年といえば、CanonからEOS Kiss Digitalの初代モデルが発売になった年(これも今調べて知ったんですが)。ネットの普及を歩調をあわせるようにデジカメが社会に浸透してきていた頃ですかね。デザイナーとしての自分は、写真に関してはあくまで基本的にはカメラマンに依頼をしており(それは今も変わらない部分です)、正直なところこのカメラで何を撮っていたのか、あまり覚えていません。
ショッピングモールのポスターでタレントさんと「共演」
そんなFZ10ですが、2004年に僕のデザイナーのキャリアの中でもかなりミーハーな部類に入る仕事で思わぬ活躍をしてくれました。そして私がその仕事にこのカメラを使っていたことを知っているのは僕だけだという笑。
同年春に新規オープンしたショッピングモールのポスタービジュアル。実際にはタレントさんを起用していのたですが、ここではタレントさんの部分をストックフォトのモデルさんに差し替えたものを載せます。
これのどこにFZ10の画像を用いているかというと、透明な球体の表面質感です。このCG画像作成プロセスについての詳細はここでは省略しますが、私の描いたラフを元に、プロカメラマンさんが「タレントさん」「木の葉」「アクリルの球体」を個別に撮影、僕のほうでphotoshop合成という流れでした。カメラマンさんが撮ったアクリル球はとても綺麗にとれていていやーさすがと感心したのですが、綺麗すぎて合成処理後も少し硬質なイメージが残りました。そこで、自分で東急ハンズに出かけ、アクリルよりも表面質感がいい意味でチープな塩ビの球体を買ってきて、グレーの紙を敷いて室内照明だけでFZ10でパシャリ。
左がスタジオで撮っていただいたアクリル球、右がFZ10で撮った塩ビのボール。僕が撮ったほう汚いですね笑 これをフォトショのレイヤでスクリーンモードにして重ねました。上の完成品をみていただくと、塩ビボールの質感が、球体を「大きなビーチボール」のような、空間に馴染んだ存在にしてくれているのがお分かりかと思います(ちゃんとアクリル球の素材感も下に生きているのが見えますか?)。
よくもまあ423万画素のデジカメで撮った素材をA倍のポスターに使おうと思ったよなと自分でも感心しますが、こうした質感素材を加えるようなデジカメの使い方を当時からちょいちょいやっていたんだろうなと思います。あいかわらず人ごとみたいな言い方してますが16年も前の、まだ駆け出しでバタバタしていた時期のことですので記憶が曖昧なのはお許しを。
ということで当時はメーカーもブランドも意識せず、おそらくカメラ量販店で売り場にある中から色々見比べて買ったであろうFZ10、その後15年以上続く僕とLUMIXとのつきあい初めの一台です。もちろんもう手元にはありません。ええ、お察しの通りいつ処分したのかももう知ったこっちゃないです。
今あらためてスペック見て思ったこと。
今あらためてスペック見て思ったこと
- Leicaレンズだったんだ…
- 光学12倍ズームでF2.8通しって何気にすごい
320x240ピクセルながら動画も撮れたようで。型番的にも2014年に登場するFZ1000の系譜の源にいたモデルなのだと思います。
冒頭の写真を見てもわかりますが、塗装の質感とか、チャっちいですよね。でも当時のデジカメって、SONYのCyber-shotシリーズにしても、CanonのPowerShotシリーズにしても大口径タイプの製品はみんなこんな感じだったんですよね。どこかボテっとしたボディデザインでした。それはきっとカメラに限ったことではなくプロダクトデザイン全般に(例えば電話機だったりミニコンポだったりパソコンだったり)当てはまることだろうなと思います。
マーク・ザッカーバーグがFacebookを作るより前に世に出た機種です。当然インスタも生まれていない。写真をとりまくカルチャーが今とは全然違う頃なので、少なくともプロフェッショナルユースを想定していない(と思う)ホビー機については画質や機能はもちろんプロダクトの質感を云々する段階になかったのかと思います。えらくdisってるように聞こえますが逆に言うとその後の進化(画質も、性能も、プロダクトデザインも、質感も)は素晴らしいなと素直に思います。いずれにしてもこのFZ10が私の、趣味・仕事両面における「デジタルカメラのある暮らし」の実質最初のパートナーとなったカメラであることに間違いはありません。