2代目LUMIXにして初マイクロフォーサーズ機
FZ10を(おそらくはそのサイズゆえに)手放した後、SONYのサイバーショット(DSC-T100だったと思う)、RICOHのGX100といったコンデジをしばらく使い、年に一度の海外撮影出張にもそれらを持って行っていました。いずれ書く機会もあると思いますが両者ともたいへん優れたカメラで、特にGX100は僕に撮影の楽しさを教えてくれたカメラでした。GX100はまだ持ってます。
やがてSNSが普及しだし、僕もFacebookなどでそれまで一方的にブログをROMっていただけのカメラマンさんたちなどとも交流するようになってきて、コンデジとは一線を画す一眼カメラの写真を目にすることが増え、色々と「欲」がでてきたわけです。「被写界深度」「F値」といった用語への理解も進み、デザイナーとして撮影立ち合いに行ったスタジオなどではカメラマンさんやアシスタントさんに色々と設定のことを聞いたりするように(ウザかったろうなぁすいません)なりました。で、要するに「もう少しセンサーの大きい、レンズ交換式のカメラ」が欲しくなってきたのです。
とは言え、台車にジュラルミンのケースをいくつも積んでスタジオ入りするようなプロカメラマンと普段から仕事していましたので、フルサイズ機はもちろんAPS-Cセンサーのカメラでさえ、こんなの一式揃えたら大変だ、なにより旅先になんか持っていけないじゃんと尻込みしていました。なまじ身近に「本式」の人たちが多かった、ということですね。
そんなこんなしてるうちに2008年、「マイクロフォーサーズ」なる規格が発表されまして、僕はもう「ああこれはパナソニックとオリンパスが僕のために開発してくれたんですねどうもありがとう」と半ば本気で思いました。それほどまでにコンセプトが当時の自分のニーズに合致していました。パナソニックから発売されたマイクロフォーサーズ初号機は「DMC-G1」。樋口可南子さんを起用した広告のキャッチコピーは「女流一眼」。
うん、いやなんか違うんでないかい。
もちろん広告表現の話ですわなと理解しつつも、システムを小型軽量化したことがイコール女性向けってことはないでしょう軟弱な男子なめんなよといささか釈然としない部分がありましたし、G1が、いわゆる一眼レフ機のデザインをなんとなくモチーフにしているような感じがして一瞬躊躇していました。翌年になってオリンパスからPEN E-P1が登場。デザインがクラシカルでカッコよく、たぶん俺これ買うな、と思ったんです。
新ジャンルの「初号機」を欲して
思ったそのままの勢いですぐE-P1を買っていたら、おそらくその後の僕のカメラライフはPENを中心としたものになっていて、動画用途を考えるようになるまでLUMIXには踏み込まなかっただろうなと思います。なぜ勢いそのままでE-P1を買わなかったのかというと、G1が一眼レフ機のデザインに寄せていたのと同様に、この製品もやはりPENという過去の銘品をデジタルで「再現」させた、というニュアンスが色濃かったところにちょっと引っ掛かるものがあったんです。要するに僕は、せっかく新たに開発したマイクロフォーサーズという新しい規格なんだから、過去の歴史をいい意味で気にしていないような、新ジャンルの1号機、を欲していたわけです。そんな中、E-P1にひと月遅れて登場したのがGF1でした。ああこれだ、とひと目で購入を決めました。冒頭の写真のように、20mm F1.7のパンケーキレンズとのセットで買い、G VARIO 14-45/F3.5-5.6の標準ズームも買い足しました。
いやあ購入後しばらくは無意味に色々撮ってましたねえ、楽しかったですよ。ああ自分も「絞り優先」とか考えながら写真撮ってやんの、と若干の照れ臭さもありつつ。買ってすぐにヨーロッパに持っていく機会があったので、作例をふたつほど載せます。どちらもG VARIO 14-45/F3.5-5.6、jpeg撮って出し(というか当時はRAWで撮っていなかった!)
この頃はスクエアで撮るのが好きだったんです。2枚とも絞って撮っているので被写界深度は深い例ですが、当人はコンデジでは得られなかったコクのある絵に喜んでいました。現行のLUMIXのマイクロフォーサーズ機の描写と比べても、やや線の太さは感じるものの画質そのものはそう大きくは劣らないように思います。発色や、jpegの諧調なんかはむしろ現行製品より素直じゃないかなとさえ感じませんか? 自分の用途であれば2020年現在でも、全然普通に使えると思います。なにしろボクシーなデザインとそのサイズ、そしてプロダクトとしての質感の高さが、これでこそ僕のために開発された(違うって)マイクロフォーサーズだよ、と大いに満足のいく機種であり、今振り返って考えても単なる「デジタル一眼の小型版」ではないマイクロフォーサーズシステムのなんたるかを実感させてくれた一台でした。自分にとってのマイクロフォーサーズはこのカメラから始まったわけです。